「長野のフルーツ」と聞いて、どんなイメージを思い浮かべますか?
長野といえば「リンゴ」と思われる方も多いかと思いますが、実際にデータを見てみると、「長野いちご」も盛り上り増しているんです。
令和4年(2022年産)の統計によると、長野県のいちご収穫量は約1,900トンで全国22位。シェアはおよそ1.2%。栃木(約24,600トン・15.2%)、福岡(16,000トン・9.9%)、熊本(11,700トン・7.2%)といった“いちご王国”には及びません。正直、数字だけ見れば小さな存在です。

イチゴの産地 栽培面積 収穫量 出荷量 輸入量 輸出量|果物統計 グラフ
ところが -ここからが面白いところ。2007〜2023年のデータを見ると、
- 収穫量:+21%
- 作付面積:+9.3%
- 10aあたり収量:+11%




長野県 [いちご(苺,イチゴ)] | 生産状況 | 7年間の生産状況の推移 | 収穫量 作付面積 全国順位 割合 | ジャパンクロップス
全国シェアも0.35ポイント上昇していて、少しずつ地力を伸ばしているのが分かります。さらに、安曇野・松本を中心としたJAあづみの取り組みも注目ポイント。2004年に始まった夏秋いちご栽培は、2018年には生産者48戸・栽培面積6.5ha・年間売上3.7億円まで成長。栽培面積の約9割を占める「すずあかね」は、夏から秋でも安定出荷できる品種として確立しました。数字の裏には、地域ぐるみで新しい市場をつくりあげた努力があります。
夏いちごは「四季成り性品種」を活用して真夏でも収穫可能。さらに長野県オリジナルの「サマーリリカル」や、信州大学発の「信大BS8-9」といった新品種も加わり、長野はいま夏秋いちごの供給地として全国的に期待が高まっています。
長野の自然が育む夏いちご
長野県の夏いちごが特別なのは、環境条件と農家の工夫に理由があります。
- 昼夜の寒暖差が大きく、甘さと酸味がギュッと濃縮される
- 北アルプスの湧水が使われ、味わいが澄んだ印象になる
- 微生物を活かした栽培で、体にやさしいフルーツに育つ
「夏でも国産いちごが楽しめる」という希少性は、こうした条件がそろう長野だからこそ。

人気夏いちごの生産地を深掘り
長野県の夏秋いちごは、特に以下の地域が生産の中心です。それぞれの自然条件や流通スタイルが異なり、味わいや供給の特徴も個性豊かです。
1. 安曇野エリア
- 主な地域:安曇野市・松本市・池田町・穂高など
- 特徴:北アルプスの清冽な湧水と大きな昼夜の寒暖差。糖度と酸味のバランスが絶妙。
- 生産の実績:JAあづみが2004年から夏秋いちご栽培を開始。2018年には生産者48戸、栽培面積6.5ha、年間売上3.7億円まで成長。
- 主な品種:すずあかね(県内夏秋いちごの約9割)、サマーリリカル。
- 強み:大規模流通と鮮度を両立。パティシエや菓子店への安定供給が可能。
2. 八ヶ岳エリア
- 主な地域:南佐久郡、小海町、南牧村、原村、富士見町など
- 特徴:標高1,000m級の冷涼な気候が、真夏でも糖度をしっかり引き出す。
- 主な品種:サマーリリカル、信大BS8-9。酸味と甘みが濃く、輸送にも強い。
- 強み:観光農園が多く、直売・体験型いちご狩りと組み合わせた販売も活発。ホテルやレストランとの直接取引も多い。
3. 軽井沢エリア
- 主な地域:軽井沢町、御代田町など
- 特徴:避暑地ならではの涼しい夏。いちごの鮮度を長く保ちやすい。
- 主な品種:サマーリリカル、すずあかね。甘みがしっかりして高級スイーツ向き。
- 強み:観光地・高級リゾート地ならではの高付加価値マーケット。ホテルやカフェとのコラボが盛ん。

長野県代表品種をチェック!
- サマーリリカル:長野県オリジナル。甘さと酸味のバランスが絶妙で、爽やかな夏向き。
- すずあかね:酸味と香りが際立つ。パティシエから圧倒的な支持を得ている。