―― “12月にいちごを切らさない”ための実践ガイド
1. なぜ“クリスマスいちごの確保”が難しいのか?
日本のスイーツ文化において、クリスマスは一年で最もいちごが消費される時期です。とくにショートケーキやホールケーキの天面に輝く「赤」は、すでにクリスマスの風景の一部として定着しています。しかしその裏側では、毎年のように“いちご争奪戦”が起きています。
なぜ12月のいちご確保は難しいのか?
理由は大きく次の3つです。
●① 全国的に「端境期」にあたる
いちごは本来、冬〜春にもっとも収穫量が増える作物です。
しかし12月初旬〜中旬は、多くの産地で「収穫が始まったばかり」。
まだ量が安定しないタイミングであり、供給は年間の中でも少なめです。
●② 需要が1年で最大まで跳ね上がる
クリスマス時期のケーキ需要は、通常期の3倍とも言われます。
特にホテル、洋菓子店、大手量販の共同需要が重なることで、12月20日前後はいちごの価格が一気に需要が集中します。

引用元:アグリネ
●③ 天候リスクと生育の揺れが直撃する
日照や気温の変動があると、収穫量は一気にブレます。
たとえば11月に寒波が続けば、12月の実入りが遅れるケースも。
つまり、供給が少ないのに、需要が過去最大クラスに膨らむという構造が、クリスマスいちご調達を難しくしているのです。
こうした背景を踏まえると、12月のいちご調達は「戦略なくして安定供給なし」 と言っても過言ではありません。
2. 主な仕入れルートは3つ|市場・農園・卸売の違い
クリスマス用いちごの調達方法には、大きく分けて3つのルートがあります。

- 市場(いちば)での仕入れ
- 農園(生産者)からの直接仕入れ
- 卸売業者・専門流通からの仕入れ
それぞれに特徴があり、安定性・品質・価格に違いがあります。
そしてパティシエや業務用事業者は、この3つをどう使い分けるかが腕の見せどころです。
3. ① 市場(いちば)で調達するメリット・デメリット

●メリット① 即日調達が可能
市場は“いま必要な分”をその日のうちに買えるのが最大の魅力。
急な追加や急変動にも対応しやすく、柔軟性が高い。
●メリット② 複数産地のいちごを比較しやすい
各産地のいちごがまとまって入荷するため、
サイズ・色・艶・固さなどの品質を比較しながら選べます。
●メリット③ 相場次第で安く買える可能性もある
天候・収穫量次第では、相場が下がる日もあります。
しかし逆に、相場が上がる場合もあるので、市場価格の推移を確認した上で、購入を検討されるのをお勧めします。
●デメリット① クリスマス週は価格が高騰
12月20日前後の相場が跳ね上がるのは“毎年恒例”。
卸値が通常の1.5〜2.5倍になるケースも珍しくありません。
●デメリット② 早朝の競りに参加する労力
毎朝の仕入れ業務が必要で、クリスマス週は特に負荷が大きい。
●デメリット③ 品質が読みにくい
前日の天候・物流状況によって品質が安定しないことも。
●市場の総評
市場は「量を確保する保険」として強い一方で、 クリスマス週だけは 「高い・読みにくい・争奪戦」というリスクを抱えています。
そのため、市場一本では“安定供給”が難しいのが現実です。
4. ② 農園(生産者)から直接仕入れるメリット・デメリット

農園仕入れは年々注目度が高まっています。
近年は契約栽培や定期出荷を行うパティシエも増えています。
●メリット① 鮮度の圧倒的な高さ
農園からの直送はいちごが朝採りのまま届くことが多く、 市場流通より1〜2日新鮮なこともあります。
●メリット② 品質の安定性が高い
同じ農園から仕入れることで、色・硬さ・香りにばらつきが出にくい。
「ケーキの天面が揃う」というのは大きなメリットです。
●メリット③ 柔軟なコミュニケーションができる
サイズ指定、収穫日調整、温度管理など、細やかな希望が通りやすい。
●デメリット① 天候リスクを農園に依存する
農園一つの作柄に依存するため、
「今年は収穫が遅れて出荷減…」という事態が直撃。
●デメリット② ロットに限界がある
クリスマス週だけ必要量が増える店舗は、農園だけでは量が足りないことが多い。
●デメリット③ 物流コストが上がる場合も
個別発送を行うため、送料が割高になりがちです。
●農園直送の総評
農園仕入れは品質と鮮度に優れる一方、
クリスマスの「需要急増」を一つの農園で支えるのは難しい。
→ 組み合わせ戦略が不可欠。
5. ③ 卸売(専門卸)を利用するメリット・デメリット
卸売会社や専門流通業者(例:Japan Fruitsのような“チーム農園型”モデル)は、業務用に特化しており、安定供給力が高いのが特徴。

●メリット① 複数農園からの集荷で“量が読める”
物流や天候を見ながら、産地・農園を分散できるため、クリスマス週も安定供給がしやすい。
●メリット② 規格統一ができる
業務用サイズ(L〜3Lなど)の揃った規格で出荷できるのは、
パティシエにとって非常に大きな利点。
●メリット③ 価格変動を抑えられることも
契約出荷や定期取引が可能なため、相場高騰の影響を受けにくい。
●デメリット① 市場より単価がやや高くなる場合も
その分、安定性と品質が保証される。
●デメリット② 最繁忙期は数量制限が出ることも
ただし、事前予約で解決できるケースが多い。
●デメリット③
通年や長期での取引をしている際は融通が効きやすいが、単発での取引の場合、優先されない場合が多い。
●卸売の総評
卸売は「品質・量・安定」のバランスが最も良く、 クリスマス週の調達では実用的なルートと言えます。
6. 12月のいちご価格はどう動く?近年の傾向と2025年予測
ここでは、過去の傾向を踏まえた“価格の読み方”を紹介します。
●① 12月中旬から価格上昇
特に17〜24日にかけて高値になる傾向。
●② 20〜24日は年間ピーク
市場相場は通常の1.5倍〜2倍。
天候悪化が重なると2.5倍まで跳ね上がった年も。
●③ 固めのいちごが特に高値
ケーキ用に求められる「固さ・艶・形状の良い」いちごは争奪戦。
●2025年予測
近年は暖冬傾向が続いているため、
生育がやや早まる可能性があります。
ただし、秋の気温の乱高下が激しいため、
“12月中旬の収穫量が読めない”という事業者も多い状況。
→ 2025年も安定調達のハードルは低くないと予測されます。
市場単価が上がるのはほぼ確実です。
7. クリスマス用いちごを安定確保するための実践策
では、どのようにすればクリスマス週の“欠品の恐怖”を防げるのでしょうか?
以下は業務用ユーザーが実際に採用する戦略です。
●① 8〜10月の早い段階で事前予約
農園・卸売ともに、11月以降はほぼ満枠。
繁忙店ほど「確保は秋」で動いています。
●② 複数ルートを組み合わせる
おすすめは以下の構成:
- 農園(品質・鮮度用)
- 卸売(量の安定用)
- 市場(最後の調整用)
“1ルート依存”はもっとも危険です。
●③ 産地リレーを活用する
12月に一番強い産地は年によって異なります。
農園Aが不作の年は、産地Bが安定していることも。
産地リレーができる仕組みを持つパートナーがいると、
リスク分散が一気に進みます。


●④ 人気の高い規格(L〜M)は特に早めに押さえる
ケーキ天面は「形の美しさと硬さ」が命。
この規格は12月に最も不足し、価格高騰も激しいため注意。
8. Japan Fruitsが提供できる“安定調達ソリューション”
Japan Fruitsは「産地リレー × チーム農園 × B2B特化」の仕組みにより、
クリスマス時期でも以下のようなメリットを提供できます。
●① 複数産地・複数農園からの集荷力
長野・東北・北海道など、夏秋の強い産地と、
冬春の主要産地を組み合わせた体系的な供給ネットワーク。
●② ケーキ用の“硬め・艶あり”規格に強い
パティシエが求めるサイズや固さに合わせて選果。

●③ 事前予約による数量確保
早期の相談により、クリスマス週の安定供給が可能。
●④ 物流事故ゼロへの取り組み
鮮度を落とさず、破損を最小限に抑えるための検品・梱包体制。
●⑤ 規格外品の活用やスイーツ加工用の提案も可能
飾り用が不足しても、加工用との組み合わせでコスト調整できる。
9. まとめ|クリスマスいちごは“戦略で確保する”時代へ
クリスマスのいちごは、
「運」や「市場次第」で確保する時代ではありません。
- 市場の柔軟性
- 農園の品質
- 卸売の安定性
この3つの特性を生かしながら、
いかに計画的に組み合わせるかが最大のポイント。
そして、産地リレーや複数農園ネットワークを活用すれば、
天候リスクや相場高騰にも比較的強い調達が可能になります。

●④ 人気の高い規格(L〜M)は特に早めに押さえる
ケーキ天面は「形の美しさと硬さ」が命。
この規格は12月に最も不足し、価格高騰も激しいため注意。
8. Japan Fruitsが提供できる“安定調達ソリューション”
Japan Fruitsは「産地リレー × チーム農園 × B2B特化」の仕組みにより、
クリスマス時期でも以下のようなメリットを提供できます。
●① 複数産地・複数農園からの集荷力
長野・東北・北海道など、夏秋の強い産地と、
冬春の主要産地を組み合わせた体系的な供給ネットワーク。
●② ケーキ用の“硬め・艶あり”規格に強い
パティシエが求めるサイズや固さに合わせて選果。

●③ 事前予約による数量確保
早期の相談により、クリスマス週の安定供給が可能。
●④ 物流事故ゼロへの取り組み
鮮度を落とさず、破損を最小限に抑えるための検品・梱包体制。
●⑤ 規格外品の活用やスイーツ加工用の提案も可能
飾り用が不足しても、加工用との組み合わせでコスト調整できる。
9. まとめ|クリスマスいちごは“戦略で確保する”時代へ
クリスマスのいちごは、
「運」や「市場次第」で確保する時代ではありません。
- 市場の柔軟性
- 農園の品質
- 卸売の安定性
この3つの特性を生かしながら、
いかに計画的に組み合わせるかが最大のポイント。
そして、産地リレーや複数農園ネットワークを活用すれば、
天候リスクや相場高騰にも比較的強い調達が可能になります。
